
こんにちは。 日本文化の真髄を学ぶ『ムーサの芸術研究会』を主宰する梅澤さやかです。今日は「日本人が知らない海外で活躍するアーティスト」を紹介します。
この2月に54才で逝去された天才ヘアメイクアップ=アーティストの加茂 克也さんです。ファッション/広告に関わったり興味があればご存知と思います。それ以外の方にはピンとこないかもしれませんので、ちゃんとご紹介したいと思います。
※ 加茂さん「日本文化について語り倒す!」取材インタビューPDF(現在・未公開)をご希望の方、全員に配布します。詳しくは、ページの一番下をご覧ください。
花がありトゲがあるバラの花。
加茂さんは、ヘアメイクアップ=アーティストです。
ファッション業界のヒエラルキーにおけるごく僅かの人しか認められない「トップオブトップ」で活躍していた人です。(野球でいうとイチローや大谷選手みたいなもんですね)
例えば、パリコレでもトップメゾンのシャネル、フェンディのショーのヘアメイクを手掛けていました。元・仏版『VOGUE』のカリーヌ・ロワットフェルド編集長が「加茂は世界で5本指に入る」と太鼓判をおすほど認められ、尊敬されていました。仏版や伊版『VOGUE』の誌面でも常連でした。
そのポジションを築いたのは、『JUNYA WATANABE』や『アンダーカバー』など、川久保玲以降の「日本アバンギャルド」を牽引するブランドのパリコレショーでの仕事です。
だから、加茂さんワークの魅力は、その2つのブランドのショーに最も濃厚にわかりやすく現れていると思います。
例えて言うなら、まさにバラの花。
バラとトゲ。相反するものが共存する驚きです。
日本人のミクスチャー感覚からこそ生まれる「エレガント(バラ) x パンク(トゲ) x 」。加茂さんは、ガラス・安全ピン・鉄の棒や、カラスの羽などの自然ブツなど、荒々しいハードな素材から、バラの花のようにエレガントで美しいヘア彫刻を生み出しました。
★JUNYA WATANABE
★UNDERCOVER
どのお仕事もアートピースの域。
個人的に、忘れられないのが、『CHANEL』クチュールでのお仕事です。
紙で作ったお花のヘッドピースです。
バラの花とトゲ。
白い紙で作り上げるクチュリエの技のような彫刻!
加茂さんの真骨頂の1つだと思います。
香港のファッション誌にも同じモチーフのオリジナル・ヘッドピースを披露していました。
◆この時のクチュールショーの写真はこちら
SPRING 2009 COUTURE: CHANEL
Via: Vogue US
どうやってクリエーションが生み出されるか
加茂さんは、「あまり考えるプロセスを経ずに、自分が美しいと思うかどうかだけでやってる」とおっしゃってました。こちらのインタビュー見ると制作の裏側、わかります。
香港の富裕層向けにヘアカットを行う方は、1回30万円という高額ギャラをとる方もいるそうです。きっと、メガリッチ特有のわがままと要求に答える高いスキルとサービスに対して、価値を感じる人がいるのだということです。
一方、モードの世界は華やかなようで、裏側のギャラは厳しいのです。
最高のファッション雑誌・仏版/伊版『VOGUE』のエディトリアルページ(誌面のファッションページ)は、服・モデル・ロケ・美術は最高ですが、そこに出ること自体が名誉でもあり最高のプロモーションなので、ギャラは本当に少ないんだそうです。
ところが、表紙になったとたん、そのギャラがバーン!と跳ね上がる。
表紙の仕事ができるということは、ビューティならロレアルなどの最大手の広告やプロモーションの仕事もくる。
何よりも視覚の世界ですから、そこに行くにはビジュアル・クリエーションで人と同じことをやっていてはだめ。最近安価メーカーのカジュアルウェアの「着やすさ」「ロジック」がメインストリームですが、モードでは、最高の美意識をビジュアルで実現できて初めて「あの人に頼もう」と認められます。
だから、加茂さんの最初の言葉は、聞くと簡単だけど、そこまで「あり・なし」が厳然とした物づくりだということなんだと思います。
加茂さん、素敵なクリエーションを見せてくださり、本当にありがとうございました。そして、率直で優しいお人柄が好きでした。安らかにお眠りください。
– 加茂さんの未公開取材PDF・無料配布 –
加茂さんが日本カルチャーについて語った取材インタビューのPDF(3ページ、2014年、現在未公開)を、ご希望の方・全員に無料配布いたします。
加茂さんの急逝を受けて、当時のチームに趣旨を話したら、みなさん速攻でフリー配布に快諾下さいました。加茂さんの生のことばを広く知っていただけたら嬉しいです。
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梅澤さやか

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