塩津植物研究所さんに 初めての盆栽を オーダーしてきました。

外出自粛が始まる前のこと。ある日の夕方。草木の育成や培養・治療を行う “草木の駆け込み寺”『 塩津植物研究所 』さんに、初めての盆栽をオーダーしてきました。

盆栽カスタムオーダーを受ける出張サービス「草木の処方箋」のために、私の地元である東京・石神井公園の『 knulpAA gallery 』さんへいらっしゃるという情報をキャッチして伺いました。



皆さんは、盆栽にどんなイメージがありますか?

私は、盆栽初心者です。
盆栽といえば、うちの「おじいちゃん」が育てていたもの。

見るのは好きで気になっていたものの、いざ自分が盆栽を持つとなると「価格もお手入れも手に負えない」と思って漠然と諦めていました。

というのも、ある美術工芸コレクターさんの家にお邪魔した時に、盆栽界の巨匠の大変立派な盆栽がありました。感心して、「これ、どうやってお手入れされてるんですか?」と伺ったら、「お手入れしきれないので、埼玉の盆栽園に預けえる」というお答えだったので、「そうか、ふつうに自分の手では育てきれないくらい難しいんだな」と思ってたんです。


ところが。

塩津さんが丁寧なカウンセリングの上、提案してくださるのは、そのイメージを軽やかに覆してくれる「等身大ですぐ始められて楽しめる盆栽ライフ」です。

👌日あたり・ベランダなどの外環境さえあれば、マンションでもOK
👌仕事の都合にも合わせて可能な盆栽を提案してくれる

ので、一人暮らしや共働きにも優しい盆栽です。

伝統的なごっつい盆栽をいきなり求めなくても、こんな風に楽しめるんだ!と大発見。

今回の診断は、予約制。持ち時間は1時間です。
まず、お伺いすると、最初にカウンセリングが始まります。

これまでの植物歴(どんなものを、どのくらいの期間育てた経験があるか)、住居の環境(日あたりや、どんなところで盆栽を育てられるか)、ライフスタイル(家族構成や、どんな風に植物の面倒が見られるか)などなど。

これらをインプットしたのち、直感も含めてマッチする木を7つ提案してくださいました。


そして、その1つ1つの木について特徴を説明してくれます。聞いてると、どれも千差万別で独自の魅力があるのがわかり、お話と目の前の木の様子を見比べながら、引込まれます。例えば、花を楽しむもの、美しい緑を楽しむもの、木と枝のバランスや貼り具合を楽しむもの…。

その中から、最終的に1つをセレクトするのですが、目の前にあるどれもが魅力的で迷います。つい「あれもこれも」となりがちですが、ここは直感で、サクサク「今回は違う」と感じたものは外して行き、一鉢を選びます。「選ぶ」のには、すごい良い訓練です。

最終的に、私が選んだのは、こちら!


檜(ひのき)です。

檜は木材としては最も格が高く、伊勢神宮、日本古来の宮殿、寺社仏閣、すべて檜が主材です。日本書紀では、須佐之男命が「瑞の宮を為る材とすべし」と定めたとあり、出雲と縁が深く、「霊の木(ひのき)」とみなされています。

大木に育った檜は、本当に立派ですが、こちらは盆栽。
塩津さんが、綺麗にハサミを入れて手入れされていたという「逆三角」のフォルムがスッキリ美しい。今は枯れ木ですが、3月末〜4月にかけて葉が出てきて、その緑が、この上なく美しいそう。こんなに小さくても、ちゃんと檜の形!そして、その颯爽とした瑞々しさにときめきました。

決めた!この子をいただきます。

お申し込みをして、その後に、この檜に合う鉢を選ぶ「鉢合わせ」を行います。こちらも3種類ご提案いただいたうちから1つを選びました。今回、わたしが選んだのが、多治見で作陶されてる三浦ナオコさんの白磁です。

鉢だけ見ると、少々、盆栽を受けるには線が細いかな?とか、日本特産の檜を朝鮮風の白磁に合わせるのはどうかな?とも思いましたが、表面に胞子が出てる苔を敷くと気持ち良くおさまったので、その感覚で決めました。結果、おもしろい見立てになりました。

全体の、盆栽づくりの全ステップは、こちらです。

檜を鉢をセレクトしてから、盆栽づくりをする過程を、ワンテイク撮影した動画がめっちゃ面白かったので、下に貼っておきますね。根ほどき・根切り・植え替えをする塩津さんの鮮やかな手際を堪能しながら、植え替えのお勉強になりました!(これに倣って、我が家の大きい鉢ものも植え替えしようと計画中です)
ものの12分ほどですので、よろしければ、ご覧ください。

出来上がりはこちら!


苔の胞子が可愛い。定着しますように!

さて、祖父が亡くなった時のこと。うちの父が、たくさん残った盆栽たちの鉢をとって、庭に直に植えたら、あっという間に大きくなってしまって驚いたことがあります。

塩津さんもおっしゃってましたが、大きくするのは簡単だそうです。盆栽は、大きくなれる分のエネルギーをそれだけ凝縮しているんですね。

尾形光琳【六曲一双屏風 燕子花図 】の記事にも書きましたが、日本人は、広げずに折りたたんで持ち運びできるものに神や理想郷を見出してきたんですね。
世間は様々な変化が著しいですが、今日も我が家のテラスに置かれた檜の盆栽がかぐわしい葉を出す日を待ちわびて楽しみにしています。

INFO

🌿塩津植物研究所:
website>
instagram>

🌿三浦ナオコ(白磁):
instagram>

🌿knulpAA gallery:
website>

梅澤さやか